甘い初恋

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周二は涙を流しながら榎木に抱かれている高史の姿を見ながら『やめろ』と小声で言った。 『小学生の頃も可愛い顔をしてたけど、大人になっても可愛い顔をしてるな、高史』 榎木は高史が気を失うまで何度も抱いた。 満足をした榎木はソファーから立ち上がり周二に近づいた。 『次、お前が抱けよ』 『榎木、帰ろう』 『何でだよ、今がチャンスだぜ』 『悲しませてまで高史を抱きたくない』 周二は玄関に行った。 その時、玄関のドアが開き吉彰と周二は目があった。 『あんたは!…高史さん』 吉彰は急いでリビングに行きソファーに目を向けると近づいた。 『高史さん…高史さん…』 吉彰は眠っている高史の体を揺らしながら何度も呼び掛けた。 『あんたが高史の恋人か』 『……』 『榎木、帰るぞ』 周二は榎木の腕を掴みその場から離れさせようとした。 『あんた、高史さんの友達だろ…彼を悲しませて楽しいかよ』 吉彰は周二を睨み付けた。 『……』 『そんなに怒るなよ』 『怒るなだって…高史さんは俺の大事な人だ、その人が男に襲われたんだ怒るに決まってるだろ』 『そうだよ、大事な人が襲われたら俺だって怒る…俺は何てことを…』 周二は涙を流した。 その時、目を覚ました高史が体を起こし口を開いた。 『友達だと思ってたのに、周ちゃん、俺の前から消えてくれ…』 涙を流しながら高史は周二に言った。 『高史…』 『2人とも出ていってくれ』 吉彰は榎木と周二に怒鳴りながら玄関に向かわせ出ていかせた。 『周ちゃんのバカ…友達だと思ってたのに…榎木も周ちゃんも嫌いだ…』 高史は口を開きながら涙を流した。 吉彰は悲しい顔をしながら高史に近づくと抱き締めた。 『高史さんが落ち着くまで側にいます』 『…吉…彰さん…』 振り向き吉彰の顔を見つめると高史は抱きつき大きな声で泣いた。 『……』 吉彰は高史をギュッと抱き締めながら榎木と周二に怒りを感じた。 それから暫くして泣きつかれた高史は吉彰の腕の中で眠った。 『ベットに行きましょう』 吉彰は高史を抱きかかえ寝室に行くとベットに仰向けで寝せた。 眠っている高史に『店の様子を見てきます』と言って高史の頬に口づけをすると吉彰は出掛けていった。
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