甘い初恋

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『嫌…やめて…』 榎木に乱暴される夢にうなされ高史は体を起こした。 『…吉彰さん…』 高史は不安におちいり涙が溢れた。 その時、インターホンが鳴った。 『吉彰さん』 高史はベットからおり急いで玄関に行きドアを開いた。 『…榎木…』 『今、いいか』 『顔を見たくない、帰ってくれ』 『高史』 榎木は高史の腕を掴んだ。 『やめて…嫌だ…』 『何もしない、話を聞いてくれ』 榎木は泣き叫ぶ高史の体を掴みながら言った。 『嫌だ…離して…』 『頼む、話を聞いてくれ…頼むから…』 玄関先で言い争っていた榎木は高史に覆い被さりながら倒れた。 『……』 高史は榎木を見つめた。 『ゴメン、すぐ退くから』 榎木は高史と目があい見つめあった。 『さっきは悪かった…今も変わらず美しい高史に興奮して抱いてしまった、ゴメン』 榎木は高史から離れ頭を下げた。 『…帰ってくれ…頼むから』 『わかった…高史、その顔はやめた方がいい男を興奮させるから』 『何を言って…』 『やっぱり自覚がないんだな』 榎木は高史の唇にキスをし顔を見つめた。 『……』 『こういうことだ、わかったか』 『……』 『俺がここに来たことを恋人に言わないでくれな、殴りあいになるから』 『わかった』 『俺も気持ちを伝えておくよ、周二も知らないことだ…高史、俺もお前が好きだった』 『え!』 『これでスッキリしたよ、じゃあな』 榎木は手をふり出ていった。 『榎木と周ちゃんが俺のことを…』 友達として接してきた榎木と周二の気持ちを知り高史は驚いた。 榎木は歩きながら携帯を開き周二に電話をかけた。 『もしもし周二、今、話せるか』 『良いけど、何?』 『俺も高史に気持ちを伝えたよ』 『気持ちって』 『好きだったって』 『榎木…』 『俺も高史が好きだった、お前に相談されたとき複雑な気分だったよ』 電話をしながら歩いていた榎木は女性にぶつかった。 『ごめんなさい』 『俺の方こそ、すまない…』 榎木は女性に目を向けた。 『良かったら喫茶店で珈琲でも飲みませんか?』 『周二、悪いが切るよ』 電話を切った榎木は女性の誘いを受け一緒に喫茶店に行った。 その頃、周二は電話を切られ文句を言っていると上司に呼ばれ周二は上司と共に張り込みを続けた。
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