甘い初恋

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暫く歩きケーキ屋の前に着くと高史と高宗は入り口から中に入った。 『いらっしゃいませ…』 吉彰は高宗の手を握っている高史の手に目を向けた。 『吉彰、話があるんだ』 『2階で待っててくれ』 『わかった…高史先生…手を離してください、吉彰が睨んでます』 『え!、あ…ごめんなさい』 高史は慌てて手を離した。 『話ならあとにしてもらいますか』 バイトの女性が言った。 『高史先生、行きましょう』 『はい』 高史と高宗は階段を上がっていった。 『店長』 『はい…』 『ここはいいですから、2階に行った方がいいんじゃないですか』 『閉店まで頑張るよ』 『2人きりにすると恋人を彼にとられますよ』 『何か勘違いをしてるみたいだけど』 『勘違い?そうかな…』 バイトの女性は吉彰の耳元で高史と高宗のことを口にした。 『まさか…高宗には恋人がいるんだ、それにあの2人は…』 『早く見に行った方がいいですよ…いらっしゃいませ…』 バイトの女性は接客を始めた。 『あとを頼む』 吉彰は急いで階段を上がり部屋のドアを開いた。 高史と高宗は驚きながら吉彰を見つめた。 『どうしたんですか』 高史は吉彰に近づいた。 『愛し合ってるんじゃないかと思って…高史さん…』 吉彰は高史を抱き締めた。 『吉彰さん…』 高宗の前で吉彰に抱き締められ高史は頬を赤らめた。 『バイトの女性に吹き込まれたんだろ、俺と高史先生が抱き合ってるとかなんとか』 『そうなんですか?』 『そんなわけないと思ったんだけど…言われると心配で』 吉彰は高史から離れ顔を見つめた。 『俺は吉彰さんを裏切るようなことはしません、愛してるから』 高史は優しい微笑みで吉彰の頬に触れた。 『いちゃつくのは俺が帰ってからにしてくれないか…吉彰…聖子が妊娠したんだ…』 『え!』 吉彰と高史は高宗に近づき床に座った。 『本当なのか、聖子が妊娠したって』 『あぁ、本人から聞いた』 『おめでとうございます』 高史が喜ぶなか高宗の顔は喜んでいなかった。 『不安を感じてるんじゃないのか、立派な父親になれるかどうかって』 『さすが吉彰だな』 『中村先生』 『え!…』 高宗は真剣な顔で手を握る高史に驚いた。
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