甘い初恋

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『あきらさん…やめてください…』 高史は抵抗しながらあきらを見つめた。 『可愛い顔をするんだね』 あきらは高史の肌に触れながら体を重ねた。 そこへケーキを持って吉彰と男が現れた。 『何をしてるんですか』 吉彰はケーキを床に落としあきらに近づくと高史から離れさせた。 『勉ちゃんが俺を抱いてくれないんだ…体が求めてただから高史君を…』 あきらはうつ向きながら涙を流した。 『あきら』 『……』 顔をあげたあきらは目の前に立っている男に驚いた。 男はあきらに近づき抱き締めた。 『勉ちゃん…』 『俺に抱かれたいなら抱かれたいとなぜ言わない…』 『だって勉ちゃん、疲れた顔をしてたから言えなかった』 『俺に抱かれたがらないから、あきらは浮気をしてるんじゃないかと思ったよ』 『俺は勉ちゃんが好きなんだ、浮気なんてするわけないだろ』 『疲れた顔をしてたのは仕事の疲れだ…お前が誘ってくれば俺はお前を抱いた』 『勉ちゃん』 勉を見つめるとあきらは唇を重ねた。 吉彰と高史は立ち上がり口を開いた。 『親父、この部屋を使っていいから』 『吉彰』 『俺は高史さんの家に行くから』 『迷惑をかけてすまない』 勉はあきらを抱き寄せながら吉彰を見つめた。 あきらは勉から離れ立ち上がると高史に目を向けた。 『高史さん、嫌な思いをさせてゴメンね』 『……』 『勉ちゃん、吉彰君の大切な人よ』 『そうか…吉彰の父親の山本勉といいます』 『杉山高史です』 『息子のことよろしくお願いします』 勉は高史の手を握った。 『はい…』 高史が優しく微笑みながら答えると勉は手を離し吉彰に近づいた。 『お前にはもったいない良い子じゃないか』 『親父…』 『何だ』 『あきらさんと仲良くやれよ』 『お前に言われなくても仲良くやるよ、お前こそ仲良くやれよ』 『親父に言われたくない…高史さん行きましょ』 吉彰は高史の腕を掴み部屋を出ると階段を下りていった。 『今日は早めの閉店にするから帰りなさい』 『わかりました、お疲れさまです』 バイトの女性は仕事を終了し帰っていった。 その後、吉彰達はパティシエとお客を帰し店を閉店した。 『早く帰ろう』 吉彰は高史の腕を掴み店を出ると高史の家に向かった。
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