甘い初恋

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吉彰は指で唇に触れながら優しく微笑んだ。 その後、吉彰は店を開店しスーツ姿でやって来るお客様を接客した。 ー職員室ー スーツ姿で机に近づき椅子に座った高史は早速、先生達に囲まれた。 『今日はどうしたんですか』 『今日の朝、大事なことがありまして』 『もしかして吉彰の親に会ったとか』 近くにいた高宗が口を開いた。 『そうです、恋人の家族に挨拶をしたんです』 『どうでした?』 『認めてもらいました』 『よかったわね』 先生達は高史から離れ職員室を出ていった。 『吉彰の親父さんの恋人には会いましたか』 『はい、素敵な方ですよね』 『吉彰に聞きましたか、親父さんのこと』 『俺は気になりませんから、無理に聞こうとは思いません…中村先生、授業に遅れます』 椅子から立ち上がると高史は職員室を出ていった。 『そうだよな、愛する人の昔の事情なんて知らなくても良いよな』 高宗も職員室を出ていった。 生徒達が待つ教室に行き中に入ると高史は生徒達に注目を浴びた。 『今日は何でスーツを着てんだ』 『大事なことがあったからスーツを着てるんだ、俺のことはいいから授業を始めるぞ』 高史は黒板に目を向けチョークを掴んだ。 『先生』 井上が口を開いた。高史はチョークを掴んだまま振り返った。 『どうした』 『さっき大事なことがあったって言ってましたよね、もしかして吉彰さんをご両親に紹介したんですか』 『……』 井上の言葉に高史は驚きチョークを落とした。 『どうしてお前達が吉彰さんのことを知ってるんだ』 『中村先生の協力でこの教室に吉彰さんと聖子さんを呼んでもらったんです』 『何で』 『高史先生の悲しい顔を見たくないから、吉彰さんの気持ちを聞いたんです…内緒にしててすみません』 井上と生徒達は高史に謝った。 『そんなに俺のことを…』 涙が込み上げてきた高史は座り込み涙を流した。 井上と松岡は椅子から立ち上がり高史に近づいた。 『泣かないでください』 『俺達は先生が好きだから泣かれると困ります』 『ゴメン…』 高史は手で涙を拭い立ち上がった。 『先生…』 『井上、松岡、授業を始めるから席につけ…それから吉彰さんのご両親に俺達のこと認めてもらった』 高史の言葉を聞いて生徒達は喜んだ。
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