甘い初恋

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『用事を思い出したので早退させてください』 高宗は職員室を出ていった。 ー高史の家ー バスローブ姿の高史はタンスの中から衣服を取りだし着替え始めた。 『……』 高史はベットに座りそのまま倒れた。 それから暫くしてインターホンが鳴った。 『誰だろ?』 部屋を出て玄関に行った高史はドアを開き目の前に立っている高宗と吉彰に驚いた。 『中村先生、どうしてここだわかったんですか』 『校長に教えて貰いました』 『何をしに来たんですか』 『話はケーキを食べながらしませんか』 吉彰は箱を見せながら口を挟んだ。 『あなたは?』 『高宗の友達です、1人で行くの嫌だって言うから付き添いです』 『…どうぞ…』 高史は玄関から離れていった。 高宗と吉彰は靴を脱ぎ上がると高史に近づいた。 『ソファーに座って待っててください』 箱を吉彰から受けとるとキッチンに行った。 高宗と吉彰は隣同士でソファーに座った。 『画像で見るより実際の方が女性っぽいな』 吉彰は小声で高宗に言った。 その時、オボンを持って高史が現れた。 『中村先生の友達さんが持ってきたケーキです』 高史はケーキを乗せた皿と紅茶が入ったカップを高宗と吉彰の前に置いた。 『ケーキ、頂きます』 向かい合ってソファーに座った高史は苺のショートケーキを一口食べた。 『美味しい』 『それは良かった、そのケーキは俺の店で作ったケーキなんです』 『俺の店ってパティシエなんですか?』 『パティシエは他にいます、俺はケーキ屋を経営してるんです』 『そうなんですか』 高史は美味しそうに苺のショートケーキを食べ尽くした。 『俺の店に来たら種々なケーキが楽しめますよ』 『食べてみたいな』 高史と吉彰の楽しげな会話にムカついた高宗はソファーから立ち上がった。 『どうしたんだ?』 吉彰と高史は高宗に目を向けた。 『帰ります、明日は学校に来てください』 高宗はその場から離れ玄関に行くと出ていった。 『あいつどうしたんだろ、俺も帰ります』 ソファーから立ち上がった吉彰と高史は玄関に行った。 『そうだ、これ』 吉彰は店の地図を書いた紙を差し出した。 『ありがとうございます、必ず店に行きます』 紙を掴んだその時、手が吉彰の手に触れ高史はドキドキした。
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