甘い初恋

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『この事を高史先生の生徒達が知ったら殴り込みに行くかもな』 『絶対に言うなよ』 吉彰は顔をあげ真剣な顔で高宗を見た。 体を起こし吉彰を見つめながら『言えるわけないだろ』と高宗が言った。 その頃、店の前では1台のタクシーが止まり中から聖子が出てきた。 『裏口から入るか』 裏口に行き中に入ろうとするがドアが開かず聖子は携帯で高宗に電話をかけた。 高宗が電話に出ると聖子は『吉彰に言って中に入れないって』と言った。 『吉彰、聖子が中に入れないと言ってるけど』 『今、鍵を開けるから』 吉彰は階段を下りていった。 『吉彰が鍵を開けるから』 高宗は電話を切った。 『私が来るのわかってるんだから鍵を開けてなさいよ』 聖子がぶつぶと言っていると裏口のドアが開いた。 『悪かったな急に呼び出して』 『別にいいわよ』 聖子は吉彰と共に階段を上がっていった。 『聖子に似顔絵を書いてほしいんだ』 『似顔絵?高史さんの?』 聖子は床に座った。 『聖子、高史先生を乱暴した男の似顔絵を書いてほしいんだ』 ベットに座っている高宗が言った。 『乱暴って…』 聖子は正座で床に座る吉彰を見つめた。 吉彰はうつ向きながら聖子にも話した。 『そいつの顔は見たの?』 『見た、あいつの顔は忘れない』 『わかった、似顔絵を書くわ』 聖子は吉彰に男の特徴を聞きながら紙に似顔絵を書き始めた。 それから暫くして似顔絵を書き終えた聖子はその紙を吉彰に差し出した。 吉彰は紙を受け取り苺の似顔絵を見ながら『さすがだなよく似てる』と言った。 『どうやって探すの?』 『……』 『吉彰、俺にも見せてくれ』 吉彰から紙を受け取った高宗は苺の似顔絵を見て驚いた。 『こいつは!』 『知ってるのか』 『真中苺、高級ホストクラブのナンバーワンホストだよ』 『ホスト…』 『店を知ってるから連れていってやろうか』 『あぁ、頼む』 『聖子は帰って休んでろ』 『私も行く』 聖子と吉彰は高宗の案内で苺がいる高級ホストクラブの店に向かった。 ー高級ホストクラブ、開店前ー 控え室で他のホスト達とソファーに座って楽しげに話をしていた苺は良いものを見せてやると言ってビデオカメラに録画した高史の乱暴されている姿を見せた。
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