甘い初恋

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他のホスト達は乱暴されている高史の姿を夢中で見た。 『マジでこいつ男か』 『なぁ、一度でいいから会わせてくれよ』 『いいよ、会わせてやる』 金になると考えた苺は笑みを浮かべた。 その時、スーツ姿の男が控え室に入ってきた。 『苺、お前にお客さんが来てる…隣の部屋で待ってるから』 『はい…』 苺はソファーから立ち上がった。 『苺』 『何ですか』 『言ったよな、また問題を起こしたら店を辞めてもらうと』 『わかってますよ』 苺は控え室を出て隣の部屋に行った。 『お前ら何を見てんだ』 男はホスト達に近づきビデオカメラに目を向けると苺に乱暴されている高史の姿を見て驚いた。 その頃、苺は吉彰と高宗と聖子に会っていた。 『俺の場所よくわかったな高史の彼氏さん』 『吉彰に聞きながら私が似顔絵を書いたのよ』 聖子は紙を見せた。 『上手だね…ん?…高宗先輩…』 苺は高宗を見つめた。 『久しぶりだな真中』 『知り合いなのか』 『大学の後輩だ』 『大学を卒業してから会わないのに何で俺の場所がわかったんですか?』 『見かけたんだよ』 高宗と苺が話をしていると吉彰が口を開いた。 『ビデオカメラをよこせ』 『ビデオカメラ?』 『高史さんの家から出ていくとき持ってただろビデオカメラ』 『……』 苺はソファーに座り笑みを浮かべた。 『隣の部屋で皆が見てるよ』 『何だと』 吉彰は急いで隣の控え室に行った。 『……』 吉彰はビデオカメラを奪い取り録画を消した。 『何をするんだよ』 ホスト達が吉彰に目を向けた。 『うるさい!』 吉彰はビデオカメラを投げ捨てた。 『苺が乱暴していた彼は…』 『俺の大切な人だ』 吉彰は男性を睨みつけた。 『大切な人…』 握りこぶしをつくると男性は隣の部屋に行った。 『……』 吉彰とホスト達も隣の部屋に行った。 男性は苺に近づき立たせると殴り倒した。 『何ですか、いきなり』 『忘れた訳じゃないだろ、苺』 『自殺したあの女が悪いんだ』 苺の言葉にムカついた聖子は苺に近づき頬を叩いた。 『何すんだよ』 『あんたがむりやり乱暴したから自殺したんでしょ、悪いとは思わないの』 『悪いとは思わないね』 『最低…吉彰、高宗、帰りましょ』 聖子は吉彰と高宗を連れて店を出ていった。
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