甘い初恋

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『もうすぐ開店だ、準備をしろ』 『はい…』 ホスト達はその場を離れていった。 『お前を目当てにやって来る女性達を乱暴していたこと知っていた…』 『知ってて何も言わなかったよな』 『女性達が言いに来なかったから言わなかったんだ』 『兄貴は知ってたよな桜子が自殺したこと』 『お前に見せたいものがある』 男性は苺を社長室に連れていった。 『見せたいものがあるって何だよ』 『これだ』 男性は手紙を苺に差し出した。 手紙を受けとると苺はその手紙を読み始めた。 『桜子のやつ本気で俺の恋人になれると思ってたのかよ、バカな女だ』 『お前がその気にさせたのが悪い…彼女は遊びだと知って自殺をした…』 男性は手紙をテーブルに置きソファーに座る苺を見つめた。 『……』 『聞いてもいいか、何で男を乱暴している姿をビデオカメラに録画したんだ』 『金儲けだよ』 『金儲けのために男を抱いたっていうのか…もしかして苺、好きだ…』 『兄貴!』 苺は男性を睨んだ。 『苺…』 『仕事をする気分じゃないから帰るよ』 苺はソファーから立ち上がり部屋を出ていった。 男性はソファーに落ちてある写真を掴みその写真を見て驚いた。 その頃、吉彰と高宗と聖子は無言のまま道を歩いた。 『吉彰…』 『……』 突然、動きを止めた吉彰は高宗を見つめた。 『どうした?』 『しばらくの間、高史さんを休ませたいんだ、学校を…』 『わかってる、校長と生徒達には俺がうまく言っとく安心しろ』 『ありがとう…』 『高史さんの側にいてあげて』 『あぁ…』 吉彰はその場で別れ歩いていった。 『吉彰、大丈夫かな』 『聖子、お腹に赤ちゃんがいるんだ無理をするなよ』 『わかってる』 聖子と高宗は手を繋ぎながら歩き始め聖子の家に向かった。 ー高史の家、寝室ー 高史は床に体育座りで座り顔を伏せた。 『……』 それから暫くして寝室にケーキが入った箱を持って吉彰が現れた。 『高史さん』 『……』 高史は顔をあげ吉彰を見つめた。 『他の店のケーキだけど一緒に食べませんか?』 『ほっといてください』 高史は顔をそらした。 『……』 吉彰は高史に近づき腕を掴むと立たせベットに押し倒した。
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