甘い初恋

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その頃、吉彰は高史の携帯を机の上に置き衣服に着替えると寝室を出て玄関に向かい出掛けていった。 寝たふりをしていた高史は体を起こしベットからおりると机の上に置いてある携帯を開き着信履歴を見た。 『さっきの電話は周ちゃんからだったんだ』 携帯を閉じると高史は浴室に行き体を洗うと衣服に着替え吉彰の店に出掛けていった。 高史の家から歩いて数分後、家についた吉彰は裏口から中に入り階段を上がっていった。 それから暫くして店についた周二は裏口から中に入り『吉彰さん』と呼んだ。 『2階に上がってきてください』 『……』 周二は階段を上がり部屋に行った。 『久しぶりですね…高史さんのことで話があるって何ですか』 吉彰は周二の顔を見つめながら言った。 『真中苺という男を知っていますよね』 『何であなたが』 『俺と苺は中学の同級生です』 『……』 『偶然、苺とバーで会って酔っている苺から聞きました苺が高史を乱暴したって、本当ですか?』 『……』 床に座っている吉彰はうつ向きながら握りこぶしをつくった。 『俺に何か出来ることはないですか、高史に罪滅ぼしがしたいんです』 周二は正座で床に座り吉彰を見た。 吉彰は顔をあげ周二を見つめた。 『教えてください、何で高史さんの友達は高史さんを苦しめるんですか』 『高史の魅力的な体が皆を興奮させるんだ…君もそうなんじゃないのか』 『……』 『吉彰さんの場合は違うかな』 『確かに最初は高史さんの魅力的な体に惹かれていきました』 『それが本気の恋になった』 『初恋なんです』 吉彰は優しく微笑んだ。 『俺は高史の体に惹かれていました…だけど苺は違うみたいです』 『それはどういう意味ですか』 『苺はあなたと同じ高史に本気で惚れてる』 周二の言葉に吉彰は立ち上がり『あいつが本気で惚れてるわけないでしょ、惚れてたら嫌な思いをさせない』と怒鳴った。 『そうだよな嫌な思いをさせないよな…それを言われると俺は何も言えない、俺も高史に嫌な思いをさせたから』 『周ちゃん』 『高史』 『高史さん』 吉彰と周二は高史に目を向け周二は立ち上がった。 『どうしてここに寝てたんじゃ』 『吉彰さんが携帯で話しているのを聞いて』 高史は周二に近づいた。
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