甘い初恋

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『そうだな、高史には恋人がいるもんな…兄貴の言う通り気持ちを伝えてふられてくるよ』 苺は勇太に微笑んだ。 『苺』 『兄貴、ちょっと出掛けてくる』 苺は出掛けていった。 ー吉彰の家ー 『高史さんの家に行く前にどこかで食事をしてから高史さんの家に行こうか』 『そうだな』 高史と吉彰は乱れた衣服を整えた。 『先に店の外に出ててください』 『はい』 高史は階段をおりていき裏口から外に出ていった。 吉彰も階段をおりていき裏口から外に出ると入り口のドアノブに定休日の看板をかけた。 『明日、店を休みにするんですか』 『明日は高史さんの友達に会いますから』 『……』 高史は不安げな顔でうつ向いた。 『美味しいもの食べに行きましょ』 吉彰は高史の手を握り歩き始めた。 その頃、苺は高史の家の前でじっと家を見つめた。 『会ってくれないよな』 『苺!』 『……』 苺は振り返り高史と吉彰に目を向けた。 『……』 高史はうつ向いた。 『待ってください』 吉彰は帰ろうとする苺を呼び止め近づいた。 『話があって来たんでしょ、中へどうぞ』 吉彰は合鍵でドアを開け中に入った。 高史は苺に近づき『話があるなら中で聞く』と言って高史は家の中に入っていった。 続けて苺も中に入りドアを閉めた。 『お邪魔します…』 苺は靴を脱ぎ上がると高史達がいるリビングに行った。 『苺、座って』 高史と吉彰は並んでソファーに座った。 『……』 苺はソファーに近づき向き合ってソファーに座った。 それから暫く沈黙が続きやっと苺が口を開いた。 『お前のこと友達だと思ったことないと言ったけどあれは嘘だ…俺の気持ちを伝えるよ…高史、中学の頃からずっと好きだった…あの時はすまなかった嫌な思いをさせた…むりやり乱暴するつもりはなかった…高史、ごめん』 ソファーから立ち上がった苺は正座で高史に頭をさげた。 高史はソファーから立ち上がり苺の側によると顔を上げさせた。 『…高史…』 『あの言葉は嘘だったって知って良かった…俺達は友達、そうだよな』 『…高史が許してくれるなら俺達は友達だ』 『それと苺の気持ちには…』 『わかってる、これでスッキリしたよ…彼と幸せにな』 立ち上がった苺はにこやかな笑顔で高史の家を出ていった。
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