甘い初恋

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『高史、何かあったんですか?、目が赤いようだったけど』 『俺達の言葉に感動して泣いたんですよ』 『……』 吉彰は洗面台に行った。 高史は顔を洗い鏡を見つめた。 『せっかくケーキを買いに来てくれたのに、泣くなんて情けないな』 『そんなことないよ』 『吉彰さん』 高史は振り返り吉彰を見つめた。 『感動して泣いたんだろ、情けなくないよ』 『ありがとう、吉彰さん』 吉彰に微笑むと高史は吉彰に唇を塞がれた。 『お楽しみ中、悪いんだけど、俺達、ケーキを買いに来たんだけど』 井上と松岡は洗面台の前で口づけをしている高史と吉彰を見つめた。 慌てて離れた高史と吉彰は洗面台から離れた。 『種類と個数を言ってくれれば俺が箱に入れて持ってくるよ』 『抹茶のロールケーキ1個、梅ゼリー2個、苺のショートケーキ2個』 井上が言った。 『それで終わりか』 紙に書きながら高史が言った。 『はい』 『松岡は?』 『俺はぶどうのロールケーキ1個、苺のロールケーキ1個で』 『わかった』 紙に書くと高史は部屋を出て階段を下りていった。 『幸せそうで良かった』 『君達のお陰だよ』 『合計の値段、わかりますか』 『久しぶりに会ったんだ、500円でいいよ』 『やったね』 井上と松岡は吉彰に500円ずつケーキの支払いをした。 それから暫くして品物が入った箱を2箱を持って高史が部屋に戻ってきた。 『はい、井上』 『ありがとうございます』 『松岡』 『ありがとうございます』 井上と松岡は箱を持って部屋を出ると階段を下りていった。 『あ、お金もらうの忘れた』 『心配しなくてもお金もらったよ』 『そうですか』 高史は背を向け部屋を出ようとしたその時、吉彰に背後から抱き締められた。 『千明ちゃん1人じゃ大変だから手伝わないと』 『高史は良い先生だったんだな』 『どうしたんですか』 『やっぱり先生を辞めるべきじゃないよ』 吉彰は高史を振り向かせた。 『……』 『高史、先生に戻るんだ』 『今さら先生に戻れるわけが…』 『ちょっと出掛けてくるから千明の手伝い頼むよ』 吉彰は部屋を出て階段を下りていった。 『何で今さら先生に戻れだなんて』 高史は床に座り込んだ。 吉彰は学校に行き高宗を門の前に呼び出した。
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