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『吉彰!』
高宗は走って門の前で立っている吉彰に近づいた。
『忙しいときに悪いな』
『何だよ』
『校長に会わせてほしいんだ』
『校長に?何で』
『…高史のことで話があるんだ…だから校長に会わせてくれ』
『わかった』
高宗は吉彰を連れて校長室に行った。
ー校長室の前ー
『高宗も一緒に…』
『わかった』
『……』
吉彰はドアをノックした。
中から校長の声がすると吉彰と高宗は『失礼します』と言ってドアを開き中に入った。
校長は吉彰の顔を見て驚いた。
『高史先生の彼氏さんがどうしてここに』
校長はソファーに座った。
吉彰は向かい合ってソファーに座り『高史をもう一度、先生に戻してくれないでしょうか』と真剣な顔で校長に言った。
高宗は吉彰に近づき『お前の店を手伝いたくて先生を辞めたのに何でまた…』と言った。
『さっき生徒達がケーキを買いに来たんです…高史のこと高史先生って、その時、思ったんです、高史は先生を辞めるべきじゃないって、ケーキ屋の店員なんて高史さんにはあわない』
『私は嬉しいです、高史さんは生徒に好かれる先生ですから』
『じゃあ、高史を先生に』
『明日から来るように伝えてください』
『ありがとうございます』
校長に頭を下げると吉彰は校長室を出ていった。
高宗は『吉彰』と言って吉彰に駆け寄った。
『何だよ』
『いいのか』
『いいんだよ、高史は先生の方が似合ってる…明日から高史のこと頼むな』
『心配するな生徒が高史さんに手を出さないよう見張ってる』
『ありがとう、じゃあな』
吉彰は学校を出て店に帰っていった。
その頃、高史はやって来たお客の接客をしていた。
『ありがとうございました…はぁ~』
高史はため息をついた。
『何かあったんですか』
『別に何でも…少し休みます』
高史は階段を上がり部屋に入るとベットにうつ伏せで倒れた。
それから暫くして店に戻ってきた吉彰は階段を上がり部屋に入った。
吉彰はベットに近づき座った。
『高史、起きてるか』
『あぁ、起きてる』
うつ伏せに倒れたまま答えた。
『学校に行って校長に話してきました、高史を先生に戻してくれと』
『……』
驚いた高史は体を起こし吉彰を見つめた。
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