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『高史さんは俺の店に連れていくから勉ちゃんは吉彰さんに知らせて』
『わかった』
勉はその場から離れていった。
高史が着ているジャケットのボタンをとめながら『吉彰さんと喧嘩でもしたの?』とあきらが言った。
高史は無言のままあきらから目をそらした。
『帰りたくないなら、俺の店に行こうか』
『…あきらさんの店?』
顔をあげた高史はあきらを見た。
『バーを経営してるんだ、この近くだから行こ』
あきらは高史の手を握り歩き始めた。
その頃、吉彰は高史の家の中でソファーに座って高史の帰りを待っていた。
『どこに行ったのかな、携帯も繋がらないし』
吉彰は携帯を握りしめた。
ーあきらが経営している店ー
『開店は夜の6時だから、今は誰もいないよ』
ドアを開けると先にあきらが中に入りその後に高史が中に入った。
『店員さんとかいないんですか』
『勉ちゃんと2人でやってるから店員さんとかいないよ』
『……』
高史は狭い店内を見渡した。
『高史さん』
『はい』
高史はあきらに駆け寄り社長室に入った。
『俺は着替えてくるから高史さんはゆっくりしてて』
あきらはクローゼットに近づきドアを開くとスーツに着替え始めた。
高史はソファーに座り口を開いた。
『吉彰さんの店を手伝いたくて学校を辞めたのに、吉彰さん先生に戻れって…それに俺に内緒で校長に会って…許せない…』
『……』
着替え終わったあきらはクローゼットのドアを閉め高史に近づき隣に座った。
『吉彰さん言ってました、生徒さん達に高史さんを悲しませたら許さないと言われたとき、思ったそうですよ高史さんは生徒さん達に愛される良い先生だって…だから吉彰さんは高史さんを先生に戻そうとしたんじゃないのかな』
あきらは自分の携帯を高史の前に差し出した。
『……』
高史はあきらを見た。
『吉彰さんと話をしたら』
『……』
『開店の準備をしないといけないから』
携帯を高史に握らせるとあきらは社長室を出ていった。
『……』
高史は携帯を握りしめながら吉彰に電話をかけるか迷っていた。
『よし!』
決心した高史は携帯を開き吉彰の携帯に電話をかけた。
高史の家で高史の帰りを待っている吉彰は携帯を開いた。
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