甘い初恋

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『俺が勝手なことをしなかったら、高史は出ていかないし男達に乱暴されることもなかった、ごめん』 『全然、気にしてないから謝らないで』 高史は微笑みながら吉彰の頬に触れた。 『高史』 高史の唇にキスをすると吉彰は高史を抱き締めた。 『吉彰の言う通り明日から先生に戻る』 『高史…』 吉彰は高史の顔を見つめた。 『今から話すこと反対しないでね』 『何?』 『今住んでいる家を売って、吉彰の家で一緒に住む』 『家を売るなら、親父とあきらさんにやってくれないか』 『それは良いけど』 『親父達、この部屋で寝泊まりをしてるんだ』 『あきらさん達に住んでもらえるなら俺も嬉しいよ』 『キスしたい』 『俺もキスしたい』 高史と吉彰は抱き締め合いながら激しい口づけを交わした。 暫くして互いの唇が離れると吉彰がソファーから立ち上がった。 『高史はここにいて、俺が親父に話してくるから』 吉彰は社長室を出ていった。 その頃、あきらと勉は忙しく働いていた。 『忙しそうだな、店が終わるまで待つか』 吉彰は社長室に戻っていった。 『どうだった?』 『今は駄目だ、お客さんが多くて親父達、忙しくしてた』 『まだ帰られないんだろ、店を手伝おう』 高史は吉彰の腕を掴み社長室を出ると閉店まで店を手伝った。 ー夜11時、店は閉店したー 『遅くまでご苦労様、今日はお客が多かったから2人のお陰で助かったよ』 『2人に話があったから』 片付けながら吉彰が言った。 『明日でも良かったんじゃなかったのか』 『早い方が良いから』 吉彰と高史はカウンター前の椅子に座りあきらと勉を見た。 『勉ちゃん』 あきらと勉はカウンターに近づき吉彰達の前に立った。 『高史が今、住んでる家を出て俺の家で住むって言うんだ…良かったら親父達、住まないか』 『良いのか』 『売るより住んでくれる人がいるなら俺も嬉しいし』 高史が口を開いた。 『どうする?』 勉はあきらを見た。 『ありがたく住まわせてもらうよ』 『私物なんですが…』 『高史さんが必要なときに取りに来たら良いよ』 微笑みながらあきらが言った。 『私物を取りにいくとき電話しますね』 『そんなのめんどくさいから、吉彰さん合鍵持ってるんでしょ』 『はい』 あきらの問いに吉彰は頷いた。
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