甘い初恋

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『今、ありますか』 『あります』 吉彰はポケットから鍵を出しあきらに差し出した。 あきらは鍵を受け取り勉に渡した。 『今から行っても良いんですか?』 『はい、吉彰さんの店に行きますから』 『親父、そろそろ俺達は帰るよ』 『お休みなさい』 勉とあきらに少し頭を下げると高史は吉彰と共に店を出ていった。 道を歩いていた吉彰は足を止め高史も足を止めた。 『どうしたの?』 『親父達、高史の家の場所しらない…高史、ここで待ってて親父達に教えてくるから』 吉彰は駆け足で店の中に入っていった。 『……』 高史は吉彰が戻ってくるのをじっと待った。 それから暫くして吉彰が息を切らしながら戻ってきた。 『遅くなってごめん』 『ちょっと待ってて』 高史はその場を離れ自動販売機で行くとお茶を買い吉彰の元に戻った。 『はい』 『ありがとう』 差し出されたお茶を受けとると吉彰はお茶を飲み干した。 『ああ…冷えてて美味しかった』 『……』 高史と吉彰は歩き出し吉彰の家に向かった。 ー次の日の朝ー 先に目を覚ました高史はキッチンで朝食を作り始めた。 ベットで寝ている吉彰は味噌汁の美味しい匂いに目を覚まし体を起こした。 『良い匂いだ…』 『もうすぐ出来るから顔を洗ってきてください』 高史は2匹の鮭をフライパンで焼きながら言った。 『わかった』 ベットからおり衣服に着替えた吉彰は洗面台に行き顔を洗い歯を磨いた。 高史は出来上がった食事や食器をテーブルに運び床に座った。 洗面台から戻ってきた吉彰は向き合って床に座り箸を掴むと食事を始めた。 『この鮭、美味しいよ』 『パサパサしてませんか?』 『してないよ、美味しい』 『よかった』 吉彰に誉められた高史は嬉しい気持ちになりながらご飯を食べた。 その後、楽しい食事を終えた高史と吉彰は食器を流し台に運び2人で仲良く食器を洗い片付けた。 『そろそろ学校に行きますね』 『今日はスーツ姿だね』 『初めて新しい生徒達に会いますから、仲良くなれば衣服に戻りますけど』 『スーツ姿、似合うよ』 『ありがとう』 高史は頬を赤らめた。 『高史、行ってらっしゃい』 吉彰は高史の唇にキスをした。
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