0人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうですけど……。」
それでなくとも、あたふたしてる彼女が更にあたふたしだした。
(なんかへん?)
「あの、これ特売のじゃなくて、見た目が似てて、今日、間違う人多くて、えっと……。サイズが違くて、うんと。」
(ありゃ?私としたことが間違ったの持ってきちゃったか。取替えに……)
その時だった。
「どうしたの?!」
いかにも熟練と思われる店員さんが少々声高に現れた。
(ラスボスか?)
彼女の持った玉子パックを、シュッタっと奪いこちらを向く。
「お客様。なにかございましたか?」
(おっと、営業スマイル。さすがっすね。)
「私が特売のと間違えて、気がついてくれたんです。取替えに行ってきていいですか?」
と玉子売り場のほうを指差すと、
「いえ。私がお持ちしますので少々お待ちくださいね。」
(さすがな対応。ちょっと怖そうだが助かるわ~。)
熟練さんは玉子を持って小走りにその場を離れた。
「すみません!もたついてしまって……。」
バンビちゃんは俯いて、しょげている。
「いえいえ。私が悪いのにごめんなさいね。気がついてくれてありがとう。」
と笑顔で返すと、彼女はほっとしたように微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!