―バンビちゃん―

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「そうですけど……。」 それでなくとも、あたふたしてる彼女が更にあたふたしだした。 (なんかへん?) 「あの、これ特売のじゃなくて、見た目が似てて、今日、間違う人多くて、えっと……。サイズが違くて、うんと。」 (ありゃ?私としたことが間違ったの持ってきちゃったか。取替えに……) その時だった。 「どうしたの?!」 いかにも熟練と思われる店員さんが少々声高に現れた。 (ラスボスか?) 彼女の持った玉子パックを、シュッタっと奪いこちらを向く。 「お客様。なにかございましたか?」 (おっと、営業スマイル。さすがっすね。) 「私が特売のと間違えて、気がついてくれたんです。取替えに行ってきていいですか?」 と玉子売り場のほうを指差すと、 「いえ。私がお持ちしますので少々お待ちくださいね。」 (さすがな対応。ちょっと怖そうだが助かるわ~。) 熟練さんは玉子を持って小走りにその場を離れた。 「すみません!もたついてしまって……。」 バンビちゃんは俯いて、しょげている。 「いえいえ。私が悪いのにごめんなさいね。気がついてくれてありがとう。」 と笑顔で返すと、彼女はほっとしたように微笑んだ。
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