―バンビちゃん―

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袋に入れるのを待ってた旦那が、 「どうしたの?遅かったじゃん。」 と籠を受け取り、袋につめながら聞いてきた。 「んー。間違っちゃってさ。玉子。取り替えてもらってたの。やっちまった感。」 「でも、良かったじゃん。安いの買えたんでしょ?」 (仰る通りなんですけどね、バンビちゃんと熟練さんがなんか気になっちゃうんだよね~。) 「どしたの?」 買ったものを入れた袋を、すでにぶら下げて旦那が不思議そうに瞬きして顔を覗き込んだ。 「かわいい子でさ。すれてないってか、こう…バンビちゃんみたいな。」 ピンときた旦那。 「は~ん。また、ストライクか(笑)。」 ハイハイと言わんばかりに、さっさとカフェに向かって踏み出した。 私は、旦那を追いかけつつも気になって振り返ると、やっぱりバンビちゃんがペコペコ頭を下げて、熟練さんが何か言ってるであろう背中が見えた。 (私のせいだぁ……。ごめんね、バンビちゃん!)
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