―バンビちゃん―

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駐車場まで、 「あちー。酸素薄い!」 とぶつぶつ言いながら歩いていると、 50メートル程先に、さっきのバンビちゃんを発見! 旦那の肩を小突いて、指を指した。 うんうん。頷き、二人で見ていた。 友達だろうか? 女の子と並んで歩いている。 バンビちゃんとは、正反対なキラキラな今時JK。少々不釣合いにも見えたけど、バンビとて女子高生なのだろう。 バンビちゃん、さっきと違って元気よく話してる。 ちょっと耳を澄ましてみた。 「確かにさ!私がさ!もたついてんのわかるよ。でもさ!まだ3日しか働いてないっての!ったくよ!」 (ん?……ったくよ?!ですと???) (あれは……バンビか?あの、玉子のバンビなのかっ!?) 「あんのババア、ちっさいんだよね!あれでさぁ独身なんだって!顔の小じわもパッサパサだけど!ねえ!!ちょっと聞いてんの?! あんなのね!下も乾いちゃってパッサパサなんじゃねーの!」 (パッサパサ!?) ハイ。耳なんて澄まさなくても聞こえたよ。 旦那は私とバンビちゃん。いや、バンビの皮を被った今や吠える野良猫を交互に見ては、吹き出すのを堪えている。 私は、今日一番に見開いた瞼と、半開きの口をパクパクさせて……。 思わず呟いていた。 「……パッサパサ……」 熟練さんは、私と歳はさして変わらないだろう。 えっ……私もパッサ………。 『どぉーん。』 そんな音が頭上でなった気がした。 隣のJKは、ビックリした顔で、野良猫と化した彼女の口を塞がんと、手掌を元バンビの口元に近づけ、周りを見回していた。 羞恥心は、キラキラちゃんの方があるようだった。
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