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自分の故郷はとても田舎である。
昔から駅は無人で、山に囲まれ綺麗な川が流れて、住民同士で知らない者などなく、都会では考えられないくらい長閑な土地柄なのだ。
そのため各家で施錠などしている筈もなく、皆用事があれば一声かけて我が家であるかのように上がり、住民と飲み明かしたり収穫物の物々交換をしたりする。
幼い自分はこうした土地柄が嫌いであった。
環境が良いだけで何もない。欲しい服も何時間もかけて街まで行かないと買えないし、スーパーなんてものもなく近所の人が趣味の範囲で揃えている売店紛いの場所しかない。
ないない尽くしの村で、いつかここを出て都会に行きばりばり働いてやると、常々胸に誓っていたものだ。
それがいざ出てみると、なかなか理想通りにはいかない、厳しい現実が待ち受けていた。
期待していた企業への就活は全く上手くいかず、それではとても食べていけないから、仕方なく取り敢えずでバイトを始めた。
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