第二章・ー真実ー

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 厠は洗面所と一体になっていて、少しいない間にちょっと近代的になっていたようだ。  昔は手水が側にあったのだが、今は封鎖されているようなのだ。  用を済ませた後、気分を落ち着けるために洗面所で顔を洗う。  そうしてタオルで水気を取ってから、何気なく見た鏡に有り得ないモノが映り思わず叫びそうになってしまった。  ーーなん……だ?  もっとよく見ようとして、だが次の瞬間には普通に戻っていたので首を傾げる。  そう。一瞬だけど、確かに映った。  自分の顔が半分潰れたようにひしゃげ、身体も血塗れになっている、無惨な姿をーー。  以降、鏡に映るのはいつもの自分の顔だった。  お世辞にも格好良いとは言い難いのだが、愛着のある顔立ちだ。  ほっと胸を撫で下ろし、今度こそ和室まで戻るのだが、何故かそこにはもう、集まっていた誰の姿もなかった。  皆自分には何も告げずに別室の、葬式会場として開いている部屋へ行ったのだろうか……?
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