第二章・ー真実ー

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 駅に入ると丁度電車が構内に入って止まる。  ……あ。そういえば、自分は切符を……。  いつの間にか握りしめていた、都会へと戻る道への切符を見て、自然と電車に乗り込み茫然と椅子に落ち着く。  ……あぁ。荷物、置いてきちゃったな。  そんな事を考えたけど、不思議と焦りや惜しい気持ちは湧かず、むしろ荷物を置いてきた事で清々しく、軽いような爽やかな感覚に囚われている自分に気付く。  電車での景色は流れていく。  産まれた時の祝福、成長を皆で喜び、育てられ、やがて反抗期には両親を沢山泣かせてしまった……。  あぁ。母は沢山自分を愛してくれたのに、父は沢山自分を守ってくれたのに、どうしてこんな……“親不孝な事をした”のだろう。  目的地に着くまでの間、自分は泣き続けた。  泣いて、泣いて、泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて……。  後悔したから、電車を降りてまた乗り継ぐ。  乗り継いで、何時間もかけてまた都会に戻ってきた時に眩しさに目を瞑る。
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