第1章

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目の前の料理たちがなくなり、お茶を飲んで落ち着く。 「お風呂の用意をしようかな。その前に聞いておきたいこととかあるかな?」 立ち上がりながら彼女は聞いてきた。僕は首を横に振りながら、ないと合図した。 「じゃあ、少し待っててね。準備できたら呼ぶから。」 と言って、彼女は廊下の方へ姿を消した。 「待ってる間なにしよう・・・」 独り言を呟きながら考える。そして、家の中を散策しようと考えた。僕は立ち上がり二階へと上がっていった。二階には僕が暮らすであろう部屋の他にも三部屋ほどあり、どれも鍵はついていないようだった。僕は一番僕の部屋に近い部屋に入った。明かりをつける。そこにはベットがあり机があるだけのシンプルなものになっていた。机の引き出しの中やベットの下の隙間なども確認したが気になるものは見つからなかった。次の部屋に向かうため部屋を出た。 「見つけた。お風呂の準備できたよ。それと、何してたの?」 不意に声をかけられた。振り返ると彼女が立っていた。 「この家の中を散策していた。」 悪びれもせず答えた。 「なんで?」 当たり前の質問が返ってきた。誰だってそうだ。自分の家を出会って数時間の他人にジロジロ見られたら嫌だし不思議だろう。 「面白いものや気になるものがないか探していた」 僕はなにも考えずに答えた。というか、伝えたままの考えしかないのだ。彼女は僕の目を見ている。おそらく嘘かどうかを確認しているのだろう。僕はその目を見つめ返していた。 「お風呂の用意ができたから下りて。そのあとは散策せずにリビングで待ってて。」 それだけ言って彼女は階段を下りていった。僕はすぐに自分の部屋へ戻り新しい服をとった。その時、はじめて大切なことを思い出した。 「名前・・・」 それだけ言って僕は階段を下りた。風呂場に着く。服を脱ぎ体を洗った、湯船に浸かり5分足らずで外へ出た。リビングに行くとソファーに座っていた彼女が僕に気づき振り返った。 「うん。上がったね。じゃあ、次は私が入ってくるから座って待ってて。お茶も冷やしといたから飲んでね。」 首を縦に振る。そして彼女が廊下に出ていくと、僕はソファーに座った。さっきまで彼女が座っていた場所には少しだけ暖かさが残っていた。そして、お茶を飲んで一息つくと、目を閉じて深呼吸をして、黙想を始めた。
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