第一章

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今朝まであった物は殆どなかった。 似ているが全く違う家具。 壁紙も全てが今朝と違う。 佇むソーヤに、老婆が皺くちゃな顔で言った。 「お帰りなさい…ソーヤ」 老婆は母だった。 棒立ちになっている僕を椅子に座らせて、母は泣きながら話しはじめた。 変わらない姿の息子に…なんの違和感も感じないまま。 次の日、僕が還ってきたと村に言って回っていた母は嬉しそうだった。
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