第一章

3/29
21人が本棚に入れています
本棚に追加
/207ページ
私の呟く声に、反応するのはそこにいる異質な者達。 私を魔女と呼んだ異質な者。 箒で空は飛べない。 魔法も使えない。 黒服に身を包んでるのでもない。 それでも私は異端児で、私は魔女だった。 「君は神や悪魔はいないと思うのかね?」 闇が私に問う。 澄んだ男性の声は、いつも唐突に声をかけてくる。 もし…悪魔がいるのならきっと、彼がそうなんだろう。 「神と悪魔…いるかいないかと聞かれたら、私はいると答えるよ」 ほうっと囁く声が聞こえる。 無機質で感情を一切感じない…そんな音色。 「想像する神も悪魔も…きっと異常で異質だから、私達と大して変わらない。 それに…………」 一拍置いて口を開く。 「それに人間が口にする神や悪魔は、きっと元は私達と同じだろうから」 奏でる私の声は風に乗り、澄んで響くが誰の耳にも入ることはない。 そう…同じ。 人間が思い描いた綺麗な者でも恐ろしい何かじゃない。
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!