第1章

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梅雨が明け、段々と気温も上がってきた7月中旬の今日。 いつもと同じように仕事を終えた僕は、 いつもと同じように家路についていた。 今年の梅雨は例年より涼しく、朝方や深夜は肌寒い日もあった。 しかしそんな事もまるで無かったかのように、今では生ぬるく湿った風が、僕のそばを吹き抜けている。 特別急いでいるという訳でもないのに、額に汗が浮かんでくるのが分かる程に。 会社への道中の暑さで、余計に体力が失われていた僕は、兎に角早く家に帰りたかった。 クーラーのよく効いたあの部屋に。 そして、彼女の待つあの部屋に。
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