一、風呂に入る時は鍵をかけよう

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なんだこいつ。もう一度言おう、なんだこいつ。変態どころの騒ぎじゃなかった。あとぼくちんてなんだ。気持ち悪いぞ。お前見た目からして30台後半だろ。 吐き気を催したが、そこらへんは曲がりなりにも今年16になる淑女として踏み越えてはいけない一線だろう。 シャワーで冷えた頭が沸騰でもしているかのようにオーバーヒートする。胸の奥からごちゃごちゃした感情がせり上がってくる。しかし、私の口は存外この意味不明な状況でも良く働いた。 「誰ですかあなた。この家は私の家で、あなたは私の家族でも私が招待した訳でもありませんし、そもそもしっかり鍵をかけて置いたはずなのですが。つまりこれは不法侵入、ということですよね?不法侵入って犯罪なんですよ、知ってます?いえ、いい大人であるでしょうあなたなら当然知っていますよね?まあどちらにしてもあなたが犯罪者であることには変わりませんね。さらにあなたは私の裸を見るという非常に私の心を傷つけることをしたので私としてはそこもしっかり償いをして欲しいところです。いえ、するのが当然ですね、だって責任ある大人ですから。あと、さきほどあなたは人にシャワーをかけてはいけないと言っていましたが、あなたが人かどうかはともかくとして犯罪者にシャワーをかけるくらい普通のことだと思いますが?お風呂でリラックスしている少女が変態をみたら咄嗟にシャワーをかけてしまうのも仕方が無いことですよね?」 まだまだいいたいことはあるのだが、少し疲れたので口を閉じる。 「んー?なにか言ったかい!?」 あ、こいつ全然聞いてねぇ。私の口は良く回るが、スルースキルが高いやつなどには全くの無駄なのだ。少しでも聞いていたら怒らせる自信があるのだが。 なので私は思いっきり蔑んだ目を変態に向けて、薄ら笑いを浮かべて低めの声で言った。 「いいから出てけ、この変態野郎が」 そう、なんとこいつ私の裸を普通に見ながら会話して居たのだ。変態すぎて吐き気どころか世界を滅亡させたくなるレベルだ。というかこの不快感を攻撃に変えられたなら私は四国ぐらい沈めてみせよう。そのくらいである。オンナノコってやつは、変態にはとても厳しい。当たり前だが。
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