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「ねえ優雨、綺麗な言葉ってなんだと思う?」
夕日が差し込みオレンジ色に染まった教室に、俺たち二人がいた。
君は細い指でノートに教科書の文字を綴りながら言った。
「綺麗な言葉?んー。ありがとうとか……好き、とか。言われて嬉しい言葉じゃないかな?」
俺はなんとなく思った事を言った。
「そっか……じゃあ、もしイジメられてて、その仕返しとかに皮肉でありがとうっていうのも綺麗な言葉なのかな。たとえば狂った人が恋人を殺したとして、その死体を愛でながら好きだよって言うのも綺麗な言葉になるのかな」
君は手を止めて俺に言った。
急にどうしたんだ。
「いや、ね、今教科書に“綺麗な言葉”っていうのがあったから」
なんだろうなあって、ただそれだけ。
君はそう言って笑い、意識をノートに戻した。
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