妄執の家

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高校生の時、1人暮らしをしている友人がいた。 彼女とは小学生の頃から友人で、別々の高校に行ってからも時折、連絡を取り合っては遊びに行く間柄だった。 中学の時、彼女のお母さんが病気で亡くなって、うちに彼女が泊まりに来る回数が増えた。あまり多くを語りたがらなかったが、家に居たくないらしく帰る時は浮かない顔をしていた。 その理由は高校入試を控えたある日、誰の目にも明らかになった。 彼女のお父さんの再婚。しかも詳細を聞くと、まだ二十代後半のその女性はどうやら、お母さんが病床に就く前から彼女のお母さんと付き合っていたらしい。 いわゆる『不倫』だ。その事実を知ってしまった友人は、精神的も不安定になってしまい、自宅に寄り付かなくなってしまった。 もちろん、第一志望の高校は失敗。第二志望で受験していた高校へ通う事になった。 その高校は自宅からも遠く、通学に時間がかかるのだが、彼女いわく 「家にいる時間が少なくて済むから」 との事。 さらに追い討ちをかけたのが、後妻の妊娠。 再婚して半年も経たないうちに発覚した出来事に、本格的に彼女は打ちのめされてしまった。 詳しい事情を知った私の両親も、彼女の気持ちを考えてか、休日ごとに我が家へ遊びに来ることに文句をつける事はなかった。
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