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「…ごめん」
俺も、体重をかけないように気をつけながら、水原を抱きしめた。
小さな体は温かくて、そのことにひどくほっとしてしまった。
自分自身に呆れかえって、大きく溜息をつく。
「…溜息…!??」
…いや、お前にじゃないから。
「違う…ただの、やきもち」
「……えっ…?」
「…さっきのやつと随分仲良さそうだったから」
俺の知らないやつと、仲良くしてると思っただけで、馬鹿みたいに嫉妬した。
あいつが水原のこと好きかもって考えたら、もやもやして止まらなかった。
…そんなの関係ないのに。
水原の気持ちは十分すぎるほどに伝わっているのに、
これじゃあ単なる我儘だ。
子供じゃねーのに、何やってんだ。
自分で自分が嫌になる。
「ごめん、無理矢理して」
「……。」
「…ごめん」
「……。」
「……、…何か言って…」
水原が急に黙ったもんだから、どうしていいか分からなくなって、そっと顔を覗き込んだ。
…ら。
「…ッ…グスッ…」
「……。」
…泣いていた。
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