287人が本棚に入れています
本棚に追加
episode155 無理強い②
残酷な悪魔は
いつも甘い笑みを浮かべて近づいてくる。
そうだ。
ピンク色のネクタイを解いた九条敬みたいに。
「君は自分のやり方が――この子にとって一番だと信じて疑わないようだけどそれは違う」
乱れた栗毛のラファエロは
不安げに身を起こした和樹を
その手にそっと抱きとった。
「希少な花だよ、和樹は」
洗練された指先が
滑らかに頬を下り
「――咲かせるのは酷く難しい」
言葉通り
しごく丁寧に蕾を開かせるように
半ば開いた赤い唇にあてがわれる。
最初のコメントを投稿しよう!