マジで離婚する3日前!?

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「もしもし。母さん? あのさ、2日前にうちに来てたよね?」 電話口から母さんのダミ声が聞こえた。 『行ってたわよ! それがなに?』 「……いや、その時凛子の様子なにか変じゃなかった? なにか言ってたとか……」 電話の向こう側が静かになった。 「母さん?」 次に聞こえてきたのは母さんの大音量のヒステリー。 『あんた! まさか凛子さんに逃げられたんじゃないでしょうね!? 何かあったの!?』 たまらず音量を慌てて下げた。 「……逃げられたってわけじゃないんだけど……ちょっと喧嘩みたいな……」 『馬鹿! あんないい子他にいないよ! あんたが悪いんでしょう!? 仕事ばっかりで放ったらかしにして! だから孫だってまだ――…』 「わかったありがとう。またかける!」 電話を切り、向かいで静かにしていた福井に言った。 「無いな。母さんは俺より凛子びいきだ」 「うーん……って先輩スマホの待受凛子さんなんスね。離婚寸前でおいたわしや……」 「うるさい。姪っ子を待受にしてるロリコンのお前よりいい」 「だーって天使みたいなんス――…」 ブルブルとテーブルの上でスマホが震えた。母さんから着信だった。 「もしもし? ごめん、今立て込んでるからまた――…」 『あんた凛子さんにちゃんとお小遣いあげてたの? ダメだよ。専業主婦でもお小遣いあげないと! “もらはら”って言われるよ! 知ってるの? もらはらよ! 離婚されちゃうのよ!』 「……モラル・ハラスメントだろ。でも凛子はパートの給料があるからいらないって言って――…」 『何言ってんの! 凛子さん先月眼科の受付辞めたじゃないのよ!』 「……え?」 そんな話知らない。 『やだ! あんた知らなかったの?』 「……知らなかった」 『何で言わなかったのかしら? あんた凛子さんに専業主婦はダメだとか言ってたんじゃないでしょうね!』 「言ってないよ」 パートだって凛子が望んで始めたことだ。俺はどっちだってよかった。 何で俺に何も言わなかったんだ。 何で?
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