マジで離婚する3日前!?

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田部眼科のドアを開けると、受付にいた若い茶髪の女の子が顔を上げて言った。 「すみませーん。もう午前診終わっちゃったんですよー。午後診は16時からですー」 「あ。いえ……俺はあの、ここに務めていた東城凛子の夫で――…」 受付の奥の方から「キャー」という声が聞こえた。それとヒソヒソと話す声も。ところどころ『東城さんの』とか『やだー』とか筒抜けで聞こえた。 受付に立っていた“佐々木”とネームプレートをつけた女の子が気まずそうな顔で俺にニコッと笑った。 しかしその顔は引きつっている。 不穏な気配。 俺の後ろから福井がひょこっと顔を出した。 「怪しいっスねー。なんかありますよこりゃ。だってもう先輩は若い子にキャーキャー言われるトシじゃないっスからね」 「……わかってるよ。あの、すみません。何か知ってますか?」 受付の佐々木さんは「いいえー」と言ったがその目は俺を見ようとしない。 福井が受付にバン、と1枚の紙を置いた。 「しょうがない! これでどうっスか」 福井が出した紙は 『焼肉屋十吉飲食代30%オフ優待券 1枚で4名様までご利用可能』 「おい福井。相手は女の子だぞ。そんな焼肉なんて――…」 「えー! 貰っちゃってもいいんですかー!? 嬉しー!」 佐々木さんは券を手にして目をキラキラと輝かせていた。 (いいんだ……) 振り向いた福井がドヤ顔で言った。 「チッチッチ。せんぱぁい。20代の女の子は肉食いますよー。急に食いたくなるのが若さ! ……やっぱり先輩は女心がわかってないなー。ねえ、佐々木さん?」 「え? あー……いえ……」 福井がずいっと受付に身を乗り出して言った。 「ねえ。凛子さん浮気してたんでしょ? もうわかってんスよー証拠もボロボロ」 「おい――…」 「やだ!」 佐々木さんが目を丸くして口元を押さえた。 次に佐々木さんが言った言葉に、俺は頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。 「東城さん不倫バレちゃったんだ! やばーい!」
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