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福井がずいっと前に出て言った。
「率直に聞きますけどぉー。花井先生は凛子さんと車でどこに行ってたんですかぁー? 4時間も!」
「それは……」
花井が言葉につまってたじろいだ。
「ホテルで言えないことでもしてたんですかー?」
「……な……ッ ありえませんよ!」
花井の顔が赤くなった。赤い顔で花井は言った。
「僕はただ凛子さんの相談に乗ってただけです!」
「相談?」
“しまった”という顔をして花井は俺から目をそらした。
「……旦那さんには言えません」
福井が受付のカウンターを叩き、声を上げた。
「言ってくださいよ! 2人の離婚がかかってるんス!」
「……離婚?」
花井がキリッと俺のことを睨みあげた。
「いや……まあ……」
「離婚の証拠集めに浮気をでっち上げに来たんですか? それなら……それなら……
凛子さんのことは僕が幸せにしますので心置きなく離婚して下さい!」
「は……」
言葉失った俺に変わって福井がおそるおそる聞いた。
「やっぱし花井センセは凛子さんと付き合ってたんですか……?」
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