第1章

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序章 1.  北寄りの風が、 アパートの部屋の窓をカタカタと鳴らした。 街頭の木々が激しく揺れているのが、 夜目にもわかる。 遠くから、 犬の鳴き声が聞こえていた。  室内には、 二人の男がいた。 二人は、 兄弟であった。  兄が、 窓際に置かれた机で、 パソコンを操作していた。 ダイニングテーブルの椅子を引っ張り出し、 兄の横に座った弟が、 モニターを覗き込んでいる。  「まずは、 ここだな」兄が、 モニターに視線を向けたまま呟いた。  「いいんじゃないの」弟も頷く。  「ここが、 諸悪の原点なんだ。 こいつらが、 オレたちをこのような目に合わせたんだ……」兄が、 モニターの画面を憎々しげに睨みつける。 画面には、 国会議事堂が映し出されていた。
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