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 まるで貪るように唇を、舌を絡め合うふたりを、ただ見てる事しか出来ずに立ち尽くした。  ――真壁と、志摩。ふたりが付き合うようになったのは本人から聞いているし真壁の気持ちは以前から知っていた。だから、こいつらがイチャつこうが今更傷付いたりなんかしない。  ……しない、と。思ってた。  ぼろりと涙が頬を伝って地に落ちていく。ああ、そうだ。真壁から醸し出ていたのは、志摩――男の志摩に抱いた情欲の想いだ。俺は、それに中てられただけだ。  真壁は志摩を抱いたんだろう。あの幸せいっぱいというかしまりのないゆるんだ顔はそういう事だろう。  自分がその対象になる事なんてないのに、胸を高鳴らせるだなんて、馬鹿げているにも程がある。  視界がどんどん滲んでいく。同時に、ふたりの姿ははらはらと塵のように散っていく。もう、いいよ。見せつけなくて。お前らの関係を、どうこうしたいわけじゃないから――。  ぐっと唇を噛み締めた瞬間、ぐらりと脳が激しく揺れた。 .  
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