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いつものくたびれたオッサンだらけの、くたびれた居酒屋。
大学生が通うには渋いその店を選ぶのは誰にも見つからない為――というのは二の次で、麻広ちゃんは本来こじゃれたカフェやらバ―やらより、こういうお店が好きらしい。
「だって、ご飯が美味しいんだもの」
約束の金曜日。
あぐあぐと小さな口で串焼きを平らげ、ごくごくとビールを飲んでいた。
狭い店内はたくさんのお客さんで賑わっていて、時折顔なじみの客が俺達のテーブルに差し入れをくれたりした。その度に麻広ちゃんはジョッキを持って乾杯をし、新しいジョッキを持って戻ってきていた。
「女友達と行くお店もね、悪くはないんだけど……」
「高い、まずい、少ない」
「正解ーーー!! ほんとそうなの! でも誰も言わないから言えない!!」
わっと顔を覆って泣き真似をしたかと思えば今度は出し巻き玉子を口に放り込み、もぐもぐと咀嚼している。
じっと見ていたら、こちらを見る麻広ちゃんの視線が一瞬だけたじろぎ逸らされた。
「何」
「な、何でも……」
「……今日の女子会、いつもより早いね」
「……」
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