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月1のそれは、いつもよりスパンが短く今月はすでに2回目だ。
何か理由があるのか、となんとなく問い掛けただけなんだけど、麻広ちゃんの喉がきゅうっと鳴いた。
「元気、無さそうに見えたから」
「え?」
飲み干したビールジョッキを見つめ、けふっと息を吐き出しながら麻広ちゃんはそう零した。すごく、言い辛そうに。
「やまくんと、志摩くん。付き合う事になったでしょう?」
「……ああ、」
俺を見つめてくる麻広ちゃんの瞳に、じわじわと涙が滲んでいる。たかだかビール2、3杯で酔うわけがないのを知っているから、その潤みが何から来ているのかってのも、軽く想像できる。
決して口に出す事は無かったけれど、麻広ちゃんは俺の真壁に対する想いを察していた。元々男が好きっていう事は打ち明けていたから、誰を好きかと知られてもさして気にはならなかった。
佐野のようにおもしろおかしくからかう子ではないと知っていたし、何より麻広ちゃんは気付いたうえで知らぬふりをしていてくれた。
「……平気なふり、してた筈だけど」
「私を誤魔化せるわけないでしょ」
麻広ちゃんは俺の眉に冷たい指先で触れてきゅっとつり上げてきた。
「ここ、下がりっぱなし」と笑って。
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