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 身長差があるという事は、それなりに足の長さも違うわけで。    ずかずかと歩いている佐野は、歩幅の違いも気にせず俺から離れていく。このまま、人ごみに紛れてこいつを撒いてもいいんじゃねえのかなってくらい。  小走りになりそうな速度で追いかけるのがもうあほくさい。俺は、こいつに用なんか無いのに。何を必死こいて追いかけなくちゃいけないのか。  背中にじわりと汗が滲んできて、それだけでもう総てが馬鹿らしくなって足を止めた。  息は上がるし、腹減ってきたし。何なの、マジで。言えっつうから言っただけなのに。何であいつキレてんの。 「めんど、くせ」  膝に手をついて、乱れたがる呼吸を好きに吐き出させて目を閉じた。  もう、いい。あとでメッセージでも送っときゃいいだろ。とりあえず、喉が渇いた。 「ん」 「あ?」  突然目の前に現れたミネラルウォーター。    ゆっくりと視線を上へと移動させれば、ミネラルウォーターを差し出す佐野が立っていた。すっごい、申し訳なさそうな顔をして。 .
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