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以前、写真サークルとやらに人数合わせで入った時に遊びで撮った数枚。使い方もわからない一眼レフを扱うのが楽しくて、子どもみたいに笑い続けた時に部長が撮ってくれた写真。
顔をくしゃくしゃにして、見かけも何も気にせず大口開けて笑っているあほ面が気に入ってて大事にとってあった。
だけど、佐野の笑い顔はこんなじゃない。口角ばっかつりあげて、目はすうっと冷めきってて、普通に怖い。能天気が過ぎるのか、こいつに構ってる子達は気付いてもなかったけど。
「お前は、笑ってなんかない」
「……」
「だいたい、"ちゃんと"とか口走ってる時点で楽しいだなんて思ってないだろ」
返事も待たずにぽんぽんと言いたい事全部言ってすっきりした。
コーラでも飲んで喉を潤してやろうとキャップを開けて口に持っていったと同時に、ガシっと腕を掴まれた。
「あ?」
「……」
「おい、ちょ、待っ零れる!!」
強く腕を引っ張り、佐野は駆け出した。
まだ一口も飲んでいないコーラが、ばしゃばしゃと零れていく。もったいない! もったいない!!
俺の叫びを耳に入れるつもりはないらしい佐野は強引に腕を引っ張り続け、俺は道行く人にコーラをひっかけないようにと注意を促し続けた。
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