471人が本棚に入れています
本棚に追加
◆◇◆◇◆
佐野に引っ張られ続けて辿り着いたのは、大学。
まさか行きたいとこってここかよ。
やっと足を止めた佐野に掴まれていた腕を振り払うと、零れまくって残り半分となってしまった悲しい姿のコーラを一気に飲み干した。うええ、炭酸抜けまくっててくそまずい。
「知ってるか、神谷」
「何をだよ。うえ、げろ甘。まずっ」
「――」
「はい?」
うまく聞き取れなくて首を傾げた俺を、眉間に深い皺を刻んで睨んだかと思えばまた大股で歩き始めた。
俺の腕を掴んで離さない佐野の掌は、少しだけ汗ばんでいた。なのに、やけに冷たくて。
歩きっぱなしで額に滲んでいた汗が一気に冷えていった。
なんで、こんなに嫌な予感がするんだろう。
.
最初のコメントを投稿しよう!