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 佐野の手は、熱い。  だけど、その舌は舐め取ったアイスのせいかやたらと冷たくて腰からぞわりと悪寒のようなものが走った。 「ふ、……ぁ」  唇をなぞられ、軽く噛まれたと同時に息が漏れて口を開けてしまった。  瞬間、佐野の舌が奥へと入ってきて逃げ惑う俺の舌を追いかけては噛んで吸ってといたぶる。  ろくな抵抗もできないまま受け入れることしかできず、掴んだ佐野の腕を強く握り締めた。  固く閉じていた瞼を押し上げれば、目の前に映るのは楽しそうに歪んだ、青い瞳。  さっきまでの冷たい色は影を潜め、少しだけ上気したそれは、何を思ってなのだろうか。 「抵抗、しねえの」 「う、るせぇ、」  出来るなら、とっくにしてる。  させようとしてないくせに何言ってやがる。  は、は、と情けなく荒げた俺の呼吸が佐野と俺の間に落ちる。いつでも触れ合う位置にある佐野の唇は、濡れてはいるものの呼吸に乱れはなくて、それが余計に悔しかった。 「ちょろすぎだろ、お前」 「なん、ンッ」  再び唇を塞いできたそれは、噛み付くように乱暴で抵抗も、息をする事すら許してくれなかった。  腕や胸を叩いても、飲み込みきれない唾液が顎を伝っても、ソファに押し倒した俺に覆いかぶさったまま、角度を変えて何度も何度もキスをしてきた。  ぼろぼろと、俺の瞳から涙が零れ落ちるまで。 .
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