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「……う」
馬鹿なの。
俺、馬鹿なの。自分で握ったくせに何ちょっと反応しちゃってんの。
タオルの隙間から佐野を盗み見れば、じっと画面を見つめたまま爆笑している。
だけど解せない。ちょうど金髪の女の人が絶叫したと同時に血飛沫が画面いっぱいに広がったシーンだぞ。何で笑ってるんだお前。
気付かれなくて良かった、とほっとした瞬間むくむくと息子が元気になってきた。
なんなの! なんなのお前!! 何でそこで元気になんの!? 反抗期なの!? お父さん悲しい!!!
痛みを感じるくらいぎゅうっと強く握っても萎える気配はなくて、絶望する。
ホラー映画で興奮する性癖だったのか、俺……。
いや、これはアレだ、最近してなかったから。絶対そうだ。してなかったからだ。この状況に興奮するとかない。断じてない。
「何やってんのお前」
「ひっ」
そっと佐野を窺い見れば、ヘッドフォンを外した状態でこっちをじっと見つめていた。
主に、下半身を。
アッ終わったこれ。
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