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俺の手に重ねられた佐野の手は熱くて、でもただ添えるだけで動いてはくれない。ただ、手を休めるなといわんばかりにゆるゆると手の甲を引っ掻かれるだけだ。
何もかもを、佐野のせいにできたらどんなに良かったか。
羞恥とじれったさで、頭がどうにかなってしまいそうだった。
「ぅ、……ッ、やっ…め!」
頑として手を動かそうとしない俺に苛立ってか、佐野は空いた手でズボンの前を寛げ、ボクサーパンツをずり下ろしやがった。
強く拒絶しようとした叫びは佐野の口に飲み込まれ、勢い良く姿を見せた自身にカッと頬が熱くなった。
「俺、男のイカせ方とかわかんねえから。自分でして見せてよ」
「……は、?」
「つらいんだろ? さっさと抜けよ」
そんなの、自分でするのと同じじゃないか。
まさかの嘘丸だしな言葉に呆気に取られた俺の唇を噛み、佐野はまた手の甲をカリカリと引っ掻いてきた。
早く、と。煽るように。
いや、して欲しいわけじゃないんだ。だけど、この状況がどれだけつらいのかなんて、同じ男である佐野にならわかる筈だ。だからさっさと解放してくれたら、トイレで抜くなりしてくるのに。なのに、どうしてわざわざこんな事をするのか。
声を出さないように唇を強く噛み締め、ゆるりと上下に擦ってみる。たったそれだけで達してしまいそうな程の刺激に襲われ、本気で絶望した。
俺の身体、どうなっちゃってんの。
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