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一度強い快楽を拾ってしまえば、あとは転がり落ちるだけ。
佐野の楽しそうな笑い声が耳を刺激してくるけれど、もうそんなものはどうでもよかった。
早く、"そこ"に辿りつきたかった。
何も考えなくていい"そこ"へ、早く。
くちくちと濡れた音が、俺と佐野の間で響く。
背中を丸めて押し寄せる波に素直に身を委ね、瞼を押し上げて滲む視界で目の前の佐野の胸元をただ見入った。
噛み締めていた唇はいつの間にか開き、押さえていた声は今にも漏れそうで。
もう、限界だった。
「んっ、ンン、ッ」
叫びを上げそうになった口を空いた手で塞がれたと同時に下肢に伸びていた手がだらしなく蜜を零し続ける先端をカリリと引っ掻いた。
瞬間、頭の中が真っ白になって身体が大きく跳ねた。
断続的に快楽の波が襲い掛かり、びくびくと震える身体をどうすることもできなかった。
気持ちいい――感じるのは、それだけ。
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