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 出すもん出してぐったりとする俺を見下ろす佐野の顔は、興奮しているとは到底言えず鉄化面でもかぶってんのかと問いただしたくなるくらいに真顔だった。  そりゃそうだ。  同じゲイならまだしも、ノンケが自分の手で男をイかせたらそうなるわな。    佐野の好奇心丸出しの煽りに乗せられて達して、見るも無残にしょげてしまった俺の息子。残念ながら、俺の心もこいつと同じ状態だった。  穴があったら埋まりたい。頭から爪先まで、ずっぷりと。  もうしょんぼり。心の底からしょんぼりしまくり。俺、何で佐野の手でイッちゃってんの。 「……おい。いつまでそうしてんだ」  パンツとズボンをぐいぐいと上げて佐野を見上げれば、呆然と自分の手を凝視していた。  薄暗い照明に照らされるそこは俺の出したもので濡れていて、罪悪感と羞恥が一気に押し寄せてきた。  早く拭け、とタオルを投げつけると思い切り叩き落とされた。何故。 「な、なに」  じれったくなるくらいにゆっくりと手を移動させていく。ゆるゆる、ゆるゆる。指先が、薄い唇へと。 「えっ」 「まずっ」 「ッ、!? ば、なん、おま、ああ!?」  何を思ったのか、佐野は濡れた手を舐めこくんと飲み込んでしまった。  ドン、とまた薄い壁を隣から叩かれたけどそれどころじゃない。この馬鹿、何やってくれてんだ。 .
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