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◆◇◆◇◆
志摩と無事にくっついたといらん報告をしてくれた真壁に飛び蹴りをして、別れた。
俺の気持ちを真壁に伝える気は無いが、男とくっついた報告されて気分がいいわけがない。ぐちゃぐちゃでどろどろな感情が自分の中で暴れ回っているのが、よくわかる。
こんなことになるなら、我慢なんてせずにさっさと押し倒していればよかっただろうか。
同じ後悔なら、身体を繋げてから味わえばよかっただろうか。
いっそフラれてしまうなら、想いを伝えてからにすればよかっただろうか。
「……んな事、できねえけどな……」
どうせフラれるのは判っているのに、真壁の親友というポジションだけは手放したくはない。友達としてなら、あいつは俺の傍に居てくれる。
あいつの一番には決してなれないけれど、大事な友人として、傍に居たい。
ぶんぶんと頭を振ってネガティブな思考を追い払うと、スマフォを取り出してトークアプリを開いた。
こんな時は、何も考えられないくらいに飲んで騒いで、快楽に溺れたい。
トーク欄の一番上にいる【ユウ】へメッセージを送り、夜の予定を聞けば、すぐさまぶっさいくなスタンプが「OK」と知らせてきた。
知っているのは、【ユウ】という名前と、アプリのIDだけ。そんな人間と、身体を繋げていると知ったら真壁はどう想うだろうか。幻滅するだろうか。――心配、してくれるだろうか。
油断すると女々しい自分がすぐに首を擡げる。馬鹿馬鹿しくて、くだらなくて、持っている意味のない感情。
スマフォの電源を切り、唇を噛み締めて大学を後にした。
……どうやったら、真壁への想いは――消えてくれるのだろうか。
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