嘘つきで狡い人

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「甘えないで下さい」 「甘やかしてよ」 「嫌です」 「如月さん」 彼の表情がスッと変わる。 「おねがい、如月さん」 ーーーーー…あぁ、本当に狡い人。 「おねがい」なんてそんな言葉。 「狡いです…っ」 私が先生の「おねがい」を断れないことを知っていて、そんな風に言うんだ。 ゆっくりと差し出された手に自分のそれを重ねた……その瞬間。 「…っ……!」 「つーかまえた」 ギシリ、と響いたスプリングの音が不思議と遠くに聞こえるのは。 「いい子だよね、如月さんって」 目の前で妖艶に微笑む彼のせい。
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