嘘つきで狡い人

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「……あ~あ、血」 ぼそり、と独り言のように呟かれた言葉を合図に瞑っていた目を開ける。 涙で滲む瞳で見上げた先にあったのは、首筋を見つめて意地悪く微笑む先生の顔。 その瞬間… 「っ…」 その笑みが、その瞳が 「如月さん、真っ赤」 ーーーーー…私を、捕まえた。 「変…っ態!」 「好きなくせに」 「っ、ちが……!!」 ちゅっと首元で響いたリップ音に身体を震わせる。 「消毒」 「なっ、自分で傷付けておいて…!」 「ほら、俺保健の先生だし?」 「意味がわかりません」 そう反論した途端に、にやりと口角を上げて笑った佐倉先生。そして。 「わからないかなぁ。だから…」 「君に傷を作るのも、君の傷を癒すのも、俺だけでいいってことだよ」 あぁ、目眩がしそうだ。
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