第1章 初めての北海道

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それは、2010年… 僕が、高校3年生の時だった。 父親が亡くなり、兄と2人で会社を継いだ。 僕は、長男じゃないので、会社の事なんて全く考えていなかったんだ。 全て兄に任せておけば良いものだと思っていたのに。 兄は体が弱いので、いつどうなるかわからないから、2人でやってくれと言う。 兄にもしもの事が有った時には、お姉さんの事も頼まれているんだ。 お姉さんは僕の中学の時の先輩だから、兄嫁でも普通よりは気は使わないと思うんだけど… 僕達は、今でも先輩後輩の感覚が抜けなくて… 体育会系なので上下関係が厳しくて、上の言う事は絶対、ってトコが有るんだよな。 お姉さんは、昔から僕の事を可愛がってくれていて、可愛い後輩が義理の弟になっちゃった、って言うんだ。 「あの女は、やめておけ。こういう言い方はしたくないが、育ちの悪い女はダメだ。すぐに金や物を欲しがるからな」 「何も良いうちのお嬢さんじゃないといけない、って言ってるんじゃないのよ。普通でじゅうぶんだから」 あんまり育ちがどうとか、って言いたくないよな。 僕の家だって、代々の由緒有る家柄なんていうわけではないし… 母親の先祖は庄屋で、父親の先祖は代官だけど、祖父は身分の低い母親から生まれたので養子に出された、と聞いている。 僕は、ごく普通の家だと思って育ったんだ。 中学までは、同じ地域の人しか知らなかったからな… でも、高校に入ってからは色んな人が居て、確かに兄が言うように、男がお金を出すのが当たり前とか、何か買わせようとする女の子も居るとわかった。 お姉さんは、デートの時も、兄にお金を出させるのを心苦しく思っていたと言う。 僕が女性の立場なら、お姉さんと同じだと思うな。 「遊ぶだけ遊んで、良いのを探せば良いんだ」 「妊娠させたりだけは、しないでよ」 そんなわけで、兄達の言う通り、その女性とは別れた。 だけど… 遊ぶだけ遊んで、良いのを探すなんて… もう、女の人は、懲り懲りな感じなんだよな。
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